安田講堂の表紙春の“風物詩”に

 08年からは、東大・京大の合格発表に合わせて発売日をずらす対応も復活させたが、誌面の扱いが「第一線」になるまでには時間がかかった。

 12年3月23日号には、26年ぶりに合格者の写真が表紙に復活した。その後は「東大安田講堂」の表紙が、本誌の“風物詩”となった。

 00年代後半はランキングこそ掲載されていたものの、受験に関する記事はそれほど多くなかった。名実ともに大学受験特集が本誌の花形となるのは、12年以降となる。

 復活後は一定の読者の支持を得て、誌面で扱う割合も増えていく。13年以降は受験に関する特集が20本以上組まれるようになり、その存在感を放つようになっている。記事は朝日新聞出版のニュースサイトAERA dot.でも配信され、有力コンテンツの一つとなっている。

 かくいう筆者も、14年から10年近くにわたり、ランキングの編集や特集の執筆に関わってきた。ここ数年は、推薦や総合型選抜の拡大で、大学受験をめぐる環境は大きく変化してきた。ランキングで扱う一般入試はあくまで大学に入るための選択肢の一つでしかなくなりつつある。

 働き方や生き方同様、大学の入り方も多様化している時代だからこそ、受験の情報のニーズは今後も高まるといえるだろう。(河嶌太郎)

週刊朝日  2023年5月5-12日合併号

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