ヤシの木を駆け上がる田代島の猫。なんとも臨場感のある写真です(撮影/小野一俊さん)

人にも猫にも恩返しをしたい

 ウミとジンを迎えたのは、21年の夏だ。お世話になっていた保護施設が子猫の引き取り手を探していると聞き、「人にも猫にも恩返しをしたい」と引き取った。

「猫と暮らすのは初めてだったので、家の中を整理するところから始めて、1カ月くらいかけて準備しました。田代島をよく知っていたから、手狭な家の中でも万全に遊ばせてあげたくて、キャットタワーを探したりしました」

 ウミとジンはきょうだい猫。最初の15分ほどはキャリーに籠城していたが、出てきたと思ったら、我が物顔で探検を始めた。以来ずっと、小野さんのところのお姫さまと王子さまだ。お姉さんのウミちゃんが慎重派で、弟のジン君はやんちゃ。「新しいおもちゃを見ると何も考えずに駆け寄ってくるのがジン君。ジンくんが遊んで大丈夫そうなことを確認すると、近寄って来るのがウミちゃんです」。

ついついシンクロ、ウミちゃん(左)とジンくん(右)(撮影/小野一俊さん)

 同じ母猫から生まれたきょうだい猫だから、仲はとてもいい。たまにケンカするときもあるが、今でも寄り添って眠る。そんな姿を見ていると、「迎えてよかったなと思います」という。

「うちの子たち、毎日、眠る前に僕のお腹の上に乗って、ふみふみするんですよ」

 猫好きにはなんともうれしすぎるルーティンだ。かわいい暴君ぶりも、小野さんはたまらないという。

「ジンくんもウミちゃんも、用事があるときは僕を呼びつける。朝の4時から鳴き始めて、猫に起こされて起き、面倒を見て、ごはんを食べて仕事に行って、帰ってきたらまた猫の面倒を見て…猫に支配されていますね(笑)」

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