林:たとえばアイドルの子がセリフを覚えてなくて、「それはないだろ」と思うときはどうするんですか。
生瀬:その子を愛してないと、怒鳴ったり叱ったりできないんで、その子が愛すべき人であればアドバイスします。だけど、これでこの現場からお別れだなと思ったり、彼女、もう先がないなと思ったら、なんにも言わないです。
林:カワイソ~(笑)。
生瀬:だって僕には責任がないですから。だけどね、芝居の中で、そういう“パクチー”的な存在の子が生きることもあるんですよ。パクチーなんて、ふつうは食べないじゃないですか。でも、パクチーを生かす料理もあるんですよ。
林:ほお~。パクチーが誰なのか、そのパクチーがどんなふうに化けるのか、ぜひ拝見してみたいです(笑)。
生瀬:それも舞台の一つの楽しみ方かもしれない。いやあ、しかし今日は、いっぱい毒を吐いちゃったなあ(笑)。
(構成/本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2020年1月24日号より抜粋