瀬戸内寂聴さんと瀬尾まなほさん(瀬尾さん提供)

 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの秘書を約10年務めた、瀬尾まなほさん(35)。寂聴さんを失った「悲しみにいまだに向き合えていない」という。2021年11月に最愛の人を亡くしてから、どのような日々を過ごしてきたのかを聞いた。

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「瀬戸内と過ごした日々は、私の人生の全てだったと思います」

 瀬尾さんは、真っすぐなまなざしで記者をとらえ、そう話した。

「20代の青春時代は、瀬戸内にささげたと言っても過言でないくらい瀬戸内のことを一番に考えていました。それほど好きな人と一緒にいられたことはすごく幸せでした」

 瀬尾さんは、寂聴さんが亡くなってから、慌ただしく過ごしているという。そのため、「いまだに悲しみに真正面から向き合えていないんです」と話す。

「亡くなったのが(2021年)11月だったのですが、翌年2月に第2子を出産して、そこから1年間は育休を取っていました。とはいえ、瀬戸内の映画(『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』)や書籍の宣伝のために全国を飛び回っていたので、子育てをしつつ、仕事もしつつという感じでした。昨年1月に本格的に復帰したのですが、引き続き、瀬戸内の著作を管理したり、全国を巡回した『追悼 瀬戸内寂聴展』のオープニングイベントに出たり、三回忌を行ったり。それから、自分自身の連載を書いたり、著作を出したりして、本当に慌ただしい毎日です」

 寂聴さんとの別れは突然のことだった。瀬尾さんは「先生は100歳を簡単に超えると思っていたんです」と話す。

 21年の秋ごろ、寂聴さんは体調を崩し、気管支肺炎で入院。そのときはすぐに回復したが、退院から数日後、「息が苦しい」と訴えたという。

病院に連れて行くと、肺に水がたまっていたので、再度そのまま入院することになりました。でも、その間も、新聞を読むなどして、元気に過ごしていたんです」

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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「年を越せる状況ではない」