病院の窓口に設置されているマイナ保険証のカードリーダー

「自分の個人情報が漏れてしまうかもしれなくて、怖くてなかなか使えないですよね」

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 国土交通省に勤務する40代の男性は昨年、マイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」の登録をした。最大2万円分のマイナポイントが欲しかったからだ。ところが、現在までマイナ保険証を利用していないという。

 国家公務員のマイナ保険証の利用率が低迷している。厚生労働省の資料によると、国会公務員の利用率は2023年11月時点で4・36%だった。利用率は、医療機関が受診者の医療保険の加入情報などを確認する際に、従来の保険証でなくマイナ保険証が使われた割合。

 省庁別では、総務省が6・26%で、財務省や農林水産省などが5%台、厚生労働省や文部科学省などが4%台、最も低いのは防衛省の2.50%だった。

 マイナ保険証をめぐっては、23年5月に個人情報の漏洩や登録ミスが相次いだ。別人の個人情報が誤ってひもづけられ、マイナ保険証を医療機関などで利用した際、自分のものでない医療情報や薬剤が閲覧されたケースが起きた。

他人が閲覧できる状態

 加藤勝信厚生労働省大臣(当時)は記者会見で「入力時にミスがあり、別の人の情報がひも付いてしまった」と述べた。

 それだけではない。同月には、マイナンバーで行政手続きができるサイト「マイナポータル」で、兵庫県職員らが加入する共済組合の組合員家族の個人情報が約7ケ月間、他人が閲覧できる状態にあった。漏洩した情報は、組合員1人の氏名や生年月日、住所、医療関係先などの情報だったという。また、コンビニでの証明書取得サービスで、住民票などが誤って交付されるケースも相次いだ。

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利用率が低いのも当たり前