最も利用率が低い防衛省の中堅の男性職員が言う。
「機密に関わる仕事を担当しているため、個人情報の漏洩なんてされたらたまったものではない。そもそもマイナ保険証の登録すらしたくなかったし、マイナンバーカードの利用すら嫌だ」
また、公安調査庁に勤務するベテランの男性職員は「漏洩事件が相次いだことから、一部の職員はマイナ保険証を使うことに反対する人が多い。マイナ保険証だけではなく、マイナンバーカードの使用にすら懸念を抱えている人もいます。なかには毎日入館手続きの申請を紙でする人も」と話す。
霞ヶ関の各省庁は数年前から、マイナンバーカードが建物の入館証を兼ねている。複数の関係者は口を揃えてこう危惧する。
「誰が入館しているか把握することができることため、マイナンバーカードが外国情報機関などのターゲットにされかねない」
不備だらけ
経済ジャーナリストの荻原博子さんはこう憤る。
「マイナ保険証については国家公務員のほかにも、医療従事者からも批判が相次いでいます。端末エラーなどの不備が多すぎて、受付窓口がスムーズになるどころか混乱をしています。なかにはマイナ保険証の不具合で無保険扱いになりそうになった事例もあるんです」
さらにこう続ける。
「個人情報の漏洩がしばしば起こっている始末で、国家公務員の利用率が低いのも当たり前なこと。政府は国民の不安を全く把握できていない。不備だらけの中で導入を突っ走っていったら、今後大きなトラブルが起きかねません。今すぐ立ち止まって見直しすべきです」
(AERA dot.編集部・板垣聡旨)