でも、そうじゃなかったのかもしれない。女性が嫌がることが楽しい、女性が性的に気持ち悪がることが楽しい、女性が性的な恐怖を感じていることが楽しい、女性の身体やスペースに侵入して嫌がられることが楽しい……だからやっちゃう、というのが一つの真実なのかもしれない。
今回の事件で私は初めて知ったのだが、AVの世界には、食べ物に精子をかけて食べさせたりする「ジャンル」があるのだという。欲望は模倣されるという人間の本質を考えれば、男たちの欲望がAVをつくり、AVがさらに男たちの欲望を再生産し、増殖させていくこともあるだろう。日本のAVは女性に対し加虐的であり、性暴力を厭わない表現が多いことは長く指摘されてきている。それはまさに「女が嫌がることは金になる」世界なのかもしれない。
「哀れなるものたち」とは、男(=MEN/人間)のことだと私は受けとめた。同僚の女性社員の食べ物に向かってペニスをしごき、会社の女子トイレに侵入して経血のついたナプキンをあさり射精する。そしてその様子を娯楽として楽しむフォロワーたち。哀れなるものたちのお遊びが、この社会を壊している。女たちを絶望と怒りに追いやっている。いつまでこんなことが繰り返されるのだろうか。