2月13日は「NISA(ニーサ)の日」。新NISAがスタートして早や1カ月以上が過ぎた。すでに手続きを済ませた人も、これからという人も、より理解を深めるために、いまいちど制度の内容を振り返ってみたい。過去に配信したNISAに関する記事のなかで特に読まれたものを再配信する。(2023年11月18日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)
【図表】特定口座から新NISAに移すべきかがすぐわかる試算はこちら
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特定口座や一般口座の資産をいったん売却して新NISAに移したほうがいいのか? 損得の境界線を検証。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」より。
新NISAの投資上限「1800万円」を一刻も早く埋めたい。でもそこまでの投資資金は、ない。
ならば、すでに保有している投資信託や株式をNISA口座に移せばよいのでは――。
大前提として、課税口座の特定口座や一般口座で株や投資信託(以下、投信)を保有している場合、利益が膨らめば、売却時に支払う税金も増える。
ネット上では、「特定口座の金融商品をいったん売却して利益に対する税金を払う(売却時に税金が引かれる)→現金化したらすぐに新NISAで同じ金融商品を買い直す。こうしたほうが、絶対に有利」という論が優勢だ。本当だろうか?
楽天証券経営企画部広報マネージャーの松﨑裕美さんに聞いた。
「有利、不利という話ではなく税制面から別の言い方をしますね。
『新NISAに移さず、そのまま課税口座で保有し続けるか』『いったん約20%の税金を払って売却し、その後、新NISA口座で非課税運用するか』の話ですよね。
これは、今は利益に対する税金を払わずに税の繰り延べ効果で資産を増やしていくのと、非課税投資と、どちらが得かという話です」
税の繰り延べ効果とは
たとえば特定口座で元本100万円+含み益100万円の金融商品を売却すると約20万円の税金が利益から差し引かれる。
手元に残った180万円を新NISAで運用すれば、そこから先の利益に税金はかからない。
一方、売却しなければ、含み益込みの200万円を現状のまま運用し続けることになる。
つまり、売却した場合に税金を取られる分も元本に含めた形になるので、より増やせる可能性がある。これが松﨑さんの言う「税の繰り延べ効果」だ。
松﨑さんは、「結局は新NISAに移したあとの相場動向により結果が変わってしまうので、『こうしましょう!』とは断言できないです」とも語った。
「新NISAは制度自体が恒久化されているため、急ぐ必要はありません。
特定口座分をいったん売却して、新NISAで買い直すのは意外に面倒かと。
特定口座はそのままにして、新NISAで新しく投資をはじめるほうが素直かな、と個人的には思います」