オルカンばかりに人気が偏ることに心配の声も。写真はイメージです©gettyimages

 新NISA(少額投資非課税制度)では、三菱UFJアセットマネジメントの投資信託「eMAXIS(イーマクシス)Slim全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)が人気だ。しかし、新NISAの最大のメリットは運用で得られた利益が非課税になること。資産運用の専門家は、そのメリットを最大限生かすために、リスクが取れる人であれば、リターンを追求してもいいという。

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 三菱UFJアセットマネジメントによれば、オルカンの1月の純設定額は昨年12月の約3.2倍にあたる3428億円に急増したという。同月にスタートした新NISAが追い風になった。ネット証券大手の楽天証券SBI証券のNISAを通じた投信の買い付けランキングでもトップの状況が続いている。

 世界の株式に投資できる商品の中でも手数料が安く、積み立ての効果を発揮しやすい点などが評価されている。ただし、オルカンばかりに人気が偏ることに心配の声もある。

投資先はあくまで株式

 ファイナンシャルプランナーで、家計の見直し相談センター代表の藤川太さんは「一部の商品に資金が集中している現状が本当にいいのか、考える必要があります」と言う。

「オルカンは世界各国に分散投資しているとはいえ、投資先はあくまで株式。今は値上がりが続いており、リターンばかりに目が向けられています。しかし、運用先を株式ばかりに集中させると、値下がりした時の損失は膨らみやすく、リスク管理は難しくなる。『長期投資だから』という言葉だけで諦めがつくものでしょうか」

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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