『人類の終着点――戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書)

 今、私たちが直面しているのは、もはや存在しないも同然と考えていたロシア経済や、ロシアの産業システムの力です。実際、ロシアの産業は西側諸国全体よりも生産性が高いようです。しかも、ロシアがより多くの武器を必要となった場合には、中国には提供できる力があります。

 これは、この戦争の「最初の教訓」となりました。

 つまり、西欧経済に対する私たちの認識は、バーチャルで、架空で、あるいはまったく非現実的であるという教訓です。ごく当然のことですが、これこそがグローバル化の要点でした。なぜなら、グローバル化は、現実には工場を海外に押し出し、西側諸国から実際の生産手段を奪ったからです。

 私にとっては、これが中心的かつ本当に深刻な問題のように思えます。

西洋はもはや、「世界の嫌われ者」である

 あなたは「西洋対世界」と、私がこの1年以上、言い続けてきたことをまとめてくださいました。ただまずはっきり言いますが、私は自分自身を西洋人だと思っています。私はフランス人で、イギリスともつながりがあります。だから、私が西洋人の視点から話していることは、念頭に置いて下さい。

 そのうえで、私たち西洋人が今気づいたことは、「西洋は、私たちが思っていたほど好かれていない」という事実です。

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イスラム諸国がロシアを好んでいる