天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが9日、ケニアの大統領夫妻との昼食会に出席した。愛子さまが宮中での食事を伴う公式行事に出席するのは初めてだ。国内外の賓客の接遇は重要な公務の一つだが、女性皇族方の装いも注目したいところ。皇室の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年5月18日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。
【写真】まさか1人だけドレスコードが伝わっていない?女性皇族がずらりと並んだ一枚
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東京・赤坂御苑で、天皇、皇后が主催する春の園遊会が開かれた。コロナ禍などにより4年半ぶり、令和になって初めての開催となった。あいにくの雨空となったが、和装をお召しになった皇后をはじめとする女性皇族からは、雨にぬれながら出席した招待客に対するあたたかな「思い」がうかがえた。
「当時は一緒に何かされることはあったんですか」
皇后雅子さまは、招待客の中で隣り合っていた平昌、北京五輪の金メダリストであるスピードスケート選手の高木美帆さんと、東京五輪で金・銀・銅のメダルを獲得した卓球選手の伊藤美誠さんに、こう話題を振った。
高木さんと伊藤さんは、互いに顔を見合わせてにこやかにうなずき、思いを口にする。
「夏と冬で……」「本日がはじめましてなので」
伊藤さんは、両陛下に目線を合わせてうれしそうに答えた。
「夏と冬の競技がこうして会うこともないので、本当にありがたいです」
強い雨が降りしきる日だったが、その場は笑顔とあたたかな空気に包まれた。
平成の時代に侍従として仕え、駐チュニジア、駐ラトビア特命全権大使などを歴任した多賀敏行・中京大学客員教授は、園遊会での雰囲気の変化に目をみはった。
「主催者の両陛下も招待者も、笑顔でよくお話しされるな、というのが第一印象です。昭和はもちろん平成の園遊会でも、招待者はもうすこし静かな雰囲気でした。その距離感が皇室への敬意を保持していた部分はあります。一方で、令和の両陛下の独特の和やかさが令和流の礎となっていくのでしょう」
装いから見える「お気持ち」
園遊会は、天皇と皇后の主催で執り行われる。女性皇族は、外交団への接遇の意味を込めて、和服と洋服を交互でお召しになる。
順序には規則性があり、ある年の春の園遊会が「和装」で秋が「洋装」ならば、翌年の春は「洋装」で秋が「和装」といった具合だ。前回2018年の秋の園遊会が「和装」だったので、今回の園遊会は「和装」となった。