安倍洋子さん(撮影/上田耕司)

選挙情報を細かく収集

 長く付き合っていくなかで、濱岡さんは洋子さんからある“ミッション”を受けていたという。

「洋子さんから『選挙区の情報を私に何でも教えて』と言われていたんです。それで『この人は要注意人物』とか『この会長には問題がある』とかいろいろな情報を細かく伝えていました。選挙というのは表だけではないので、田舎の裏の情報を逐一伝えた。その情報をセレクトするのは洋子さんで、選んだ情報を晋太郎さんに伝えていたみたいだね」

 晋太郎氏が多忙で選挙区になかなか帰って来られないぶん、洋子さんが地元の後援者回りを引き受けていたという。

「洋子さんは秘書なんか使わないで、ダイレクトに各地区の後援会長と話していましたね。ご自分の井戸端会議の話し相手の女性も各地区に置いていたから、そりゃあ、選挙は強いよ。洋子さんはもともと銀行員だから、都内の家には晋太郎さんの金庫とは別に、洋子さんの金庫があった」

 東京・渋谷にある安倍邸ではこんな光景も目にした。

「仕出屋や天ぷら屋、すし屋の職人を自宅に呼んで、政治家も集めて、庭で安倍派の会合をやっていたこともありました」

 晋三氏は、父が果たせなかった夢をかなえて首相になった。洋子さんは晋太郎氏、晋三氏の親子二代の選挙でも重要な役割を担っていたという。

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