――ではまだ、ヒコロヒーさんの戒めの想いは届いてないかもしれない
ヒコロヒー おそらく一生届くことはないから、それも見越して書かせて頂きました。
「それはあまりにもあんまりですよ」編集者からの言葉
――タイトルの『黙って喋って』という言葉がすごく面白いなと思いましたが、どんな思いを込めましたか
ヒコロヒー 自分で書きながら、〝なんちゅうこと言ってんねん、こいつは〟とか、〝もう、なんやねん、こいつ。もう、しゃらくさいな〟みたいなことを思っていたので。タイトルを決める時に結構強めの、「黙れや喋れや」と提案したのですが、編集者さんがすごく丁寧な優しい言葉で、「それはあまりにもあんまりですよ」と遠回しに断られまして。
なので「『お前は喋れ、ほんでお前は黙れ』っていうのはどうですか?」って聞いたんですが、あまりにもトリオ漫才のツッコミのようで、「それも、どうですかねぇ~」と優しく言っていただいて。最終的に、『黙って喋って』という、まろやかなタイトルになりました。
――『黙って喋って』を読んだ人から、「この本の中に、自分がどこかにいるのではないか」「この人物は、昔の自分だったのではないか」という言葉が届いています。そんな読者に対しては、どう思いますか
ヒコロヒー 連載当初から、「この描写に心当たりがあります」との声はいただいていました。それは読んでくださった皆さんが、それぞれ自分の解釈で、罪の意識みたいなのをこの本から見つけ出しているのかなということで。
もう本当に〝人それぞれだな〟と思いましたね。自分自身と照らし合わせながら読んでくださっていると感じますね。
お金をいただけるのであれば、やらせていただきます
――映像化に向いている小説集だなと思いました。ドラマ化、映画化に関しては、どう思いますか
ヒコロヒー それはもう、お金をいただけるのであれば、やらせていただきます。はい。