帯には「吉本ばなな」さんと「西加奈子」さん

――『黙って喋って』の帯には、吉本ばななさんと西加奈子さんのお名前があります。このお2人の名前を聞いた時にどう思われましたか

ヒコロヒー 知らなかったので、もう本当、嘘じゃなく「ナーーッ!」と声が出てましたね。帯に言葉を寄せていただけるとは予想だにしていなかったので。〝エグいな〟と。もうひっくり返るような、恐縮だなという気持ちもありつつ。

 何よりも、このお2人が本を読んでくださって、言葉を寄せてくださったということが、すごく嬉しかったですし、ありがたかったです。

『黙って喋って』ヒコロヒー著(朝日新聞出版刊)>>詳しくはこちら

――この小説の中に出てくる、いろんな女性たちの恋愛。ヒコロヒーさん自身が「間近でそのシーンを見ていたんじゃないか」というぐらい描写が細かくて的確です。恋愛の設定や人物像は、どんなときに思いついたりするのでしょうか

ヒコロヒー これは本当に、どこからというものがなくてですね。〝締め切りを前にして仕事をせねば〟という気持ちで、書いておりましたので。

 ただ……1人、すごく浮気性の友人がいまして、その浮気性の友人を戒めるようなことを書いたなっていうのはありましたね。

――浮気性ってのは男性ですか。女性ですか

ヒコロヒー 友人は女性で、その友人の恋人とも、わしは仲良しなんですけれど。最終的に、その恋人は彼女の浮気、それも11、2回の浮気じゃなくて、70、80回ぐらいの浮気をすべて許して結婚したんですよ。

 だから、その女友達に「お前は、もう一生あの男を大事にせなあかんで」っていうことを、まくしたてて言っていたんですけど。

――その友人はこの本、読みましたかね?

ヒコロヒー わしの友人なんで、本とか読まないです。

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届かない〝戒め〟の想い