
なぜ新潟県だけ対応が遅れていたのか。
前出の若手県議は「ベテラン議員からは『ネットで公開されると誰が見るかわからない』といったような〝えっ?〟と耳を疑う声が出ていました」と打ち明ける。また、「『県庁に行けば閲覧できるのになぜ必要なのか』と彼らは主張していましたが、選挙管理委員会の窓口で、所定の用紙に職業、氏名などを書く必要があり、誰が報告書を閲覧したのかわかってしまうのです」と話す。
選挙管理委員会の内情を知る関係者からも同じような声が聞こえてきた。
「一部の県議会会派から、強い反対意見が出ていた。選管はその会派との調整にも入っていたそうです。選管として、他の県がネットで公開しているにもかかわらず、ウチはやっていないということは遺憾です。透明性を保つためにネット公開しなければいけないという認識があり、現状に問題意識を持っていた。このため、今年秋に向けてネットで公開する方向で調整に入ったのです」
ある県議の関係者は「自民党の派閥による裏金問題が世間を騒がせていることから、一部の議員がベテラン議員に対して『いまこそ公開すべき。時代にあっていない』とかなり反発した」と話す。
新潟県選挙管理委員会は取材に対して「なぜネットで報告書を公開していないのかという問い合わせはあります。皆様にはご不便をおかけして申し訳ないと思っています。人員体制の増加や関係各所の調整に入っており、どうかご理解いただきたいです」と答えた。
新潟市議と県議の経験を持つ、元衆議院議員の金子恵美氏は「現状、新潟県だけすべての報告書をネットで公開できていないことは、恥ずかしいこと。県民の皆様のために公開するんですから、何もやましいことはないはずです。スピード感を持って、公開に向けて対応しないとますます不信感は募るばかりです」と話した。
(AERA dot.編集部・板垣聡旨)