倦怠感、胃痛、朝起きられない……。さまざまな不調につながる自律神経の乱れ。自律神経研究の第一人者で順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、「加齢も大きな要因の一つ」と指摘する。自律神経の老化によって、命を脅かす病気も招いてしまうという。朝日新書『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』から一部を抜粋、再編集して解説する。
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自律神経の働きは10年で15パーセント低下する
自律神経が乱れる要因として、ストレス、睡眠不足、暴飲暴食、運動不足などが挙げられますが、じつは「加齢」も大きな要因の一つです。
年をとると足腰が老化したり、記憶力が老化したりするように、自律神経も老化するのです。
私自身、60歳を超えたあたりから、自律神経の老化をたびたび実感するようになりました。朝起きて「どうして朝からこんなに疲れているんだろう」と思ったり、仕事に取りかかろうとしてもやる気が出なかったり、駅の階段を上るのがつらく感じられたり……。
こんな調子では、ワクワクして生きるどころではありません。ある程度の年齢になったら、いかに自律神経を若くキープするかが、毎日を楽しく生きるためのポイントになるのです。
自律神経の老化は、男性は30代、女性は40代から始まり、10年ごとに約15パーセントずつ低下することがわかっています。60代男性の場合、30代のときと比べて、自律神経の働きがなんと約45パーセントも低下していることになります。