放送作家の鈴木おさむさん

 鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、40代の難しさについて。

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 僕が32年間続けてきた放送作家を辞めるまで70日を切りまして、このタイミングで「仕事の辞め方」という本を出版しました。辞めるなら今までやってこなかったことをやろうと決めました。僕はビジネス本というものを出してこなかったので、辞める前に初めて出そうと思いました。おそらく仕事を辞めることを考える人って40代以上の方はとても多いのではと思い、「仕事の辞め方」を書きました。

 この本の中で一番こだわったのは、40代からの「ソフト老害」について。ソフト老害と言う言葉は僕が考えた言葉なんですが、老害というと、60代以上の人を言うことが多いですが、そんなことないよなと思ったのです。

 僕は常々、40代に入る前に、「40代はしんどそうだな」と思っていました。そして40代になると、なかなかしんどかったです。

 30代まで仕事でやり甲斐を感じられてる人は、30代後半で、より自分の思ったことを形に出来ると思い始めます。ですが、そういう人が40代になると、今度は会社や仕事全体のことを考えなきゃいけなくなるのです。そういう立場になるのですよね。

若い世代から「うざく」思われる

 すると、結局、大事なことを決めてるのって、自分が思ってたより上の人たちであることに気づく。

 そういう人たちからすると、30代の人たちはかわいく見えるし、チャンスを与える。ですが40代になると、ここから先に進むにはもっと勉強しなきゃね!的な感じを見せる。

 すると、今度は、自分より上の人と下の世代の間に入るんですよね。バランスを取り始める。

 この、自分ではバランスを取っていると思っていることが、若い世代からは「うざく」思われる。前までは、若い側にいて、前に進むことだけを考えていたのに、急にブレーキをかけさせようとしたりする。しかも「俺はみんなの気持ち分かるよ」的な立場でアプローチしてくるけど、結果、上の人たちの機嫌も取っているように見える。

 自分がバランスを取っているつもりでも、下の人からすると「あの人変わったよな」的に見えてくる。これって40代に入ると本当に多いなと思うんです。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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