「選挙や政治の世界における変化は、地方から起きている」
そう指摘するのは、大正大学の江藤俊昭教授(地方政治・政治過程論)だ。
「地方自治の方が自浄作用があり、クリーンな印象がある。地方自治の方が進んでいる。カネと利益のために癒着する構造が崩れ、公平な政治が実現しつつある」
と話す。地方にいくほどに、政治家(議員)と企業や団体との癒着が強くなる、というのは過去のことなのだという。
その最大の理由は「平成の大合併」だ。3200以上あった市町村は半分近い1700余りにまで減り、地方議員数は、01年は6万1351人だったが21年は3万2021人となり20年で半減している(総務省調べ)。
「合併で集落が機能しなくなり、要望を伝える先の選択肢が広がった。同時に女性活躍を掲げる政策ネットワークや若手による勉強会などが数多く立ち上がったことが大きい」(江藤教授)
00年代に入ってから談合や汚職事件が相次いだことをきっかけに、一般競争入札の制度が整ったことに加え、地方議員からの要望や働きかけなど、いわゆる「口利き」行為を記録に残す規定が多くの自治体で採用されたことも影響しているという。
また、地方自治体では、政治倫理条例があれば審査会を開くことができるほか、地方自治法の百条調査権で議会や会派の中まで調べることができるが、国政調査権では証人喚問や記録の提出を求める以上の規定がないことも、地方の方が透明度が高まっている理由だ。