その中で誰もがハッキリと「収穫」だと言えるのは、中村だろう。第1戦のベトナム戦では、“消えた時間”はあったが、前半アディショナルタイムに決めた左45度からの鮮やかな逆転ミドル弾で帳消し以上の働き。イラク戦を欠場した後の第3戦のインドネシア戦では、決定的なチャンスでポストに嫌われたが、上田綺世の2点目のシーンのように試合の中で有機的にボールに絡むシーンはベトナム戦よりも増えた。三笘薫の故障からの回復具合にもよるが、ベスト16以降の戦いの中でも期待できる戦力、武器として、試合途中からでも起用されるはずだ。
ただ、“新戦力”を試し切れなかったことで、グループステージ3試合の中で「新しい発見」はなく、「収穫」に挙げた毎熊、中村のパフォーマンスも特段、驚くべきことではない。それでもベトナム戦でのハイラインと即時奪回のハイプレスを機能させたことは今後の戦いに間違いなく繋がるはずで、何より「アジアの戦いは簡単じゃない」とチーム全員が再認識し、共有できたことが最大の「収穫」であると言える。決勝トーナメントは強豪揃い。果たして、森保ジャパンはこのアジアの舞台で“史上最強”を証明できるのか。例え「新しい発見」と「収穫」が少なくとも、優勝という「結果」を残せばいいことを、最後に訴えておきたい。(文・三和直樹)