23年は芸能人と事務所との関係性が大きく見直された年でもある。事務所から独立し、活動する動きも活発になってきた。風向きの変化は感じるか。
芸能界に限らず、変わっていく
「それは感じます。
ただ、芸能界の以前のルールや慣習が悪いものだ、というより、仮に今後新しいルールに変わったとしても、その次の時代になったら、それも『古い考え方だ』と言われるかもしれない。芸能界に限らず、いろんなことがそうやって変わっていく。
だから、僕は、変わっていくことを恐れたり、『変わりたい』と思っている人を弾劾したり、否定したりするのはよくないのかなと思っています。
僕自身、芸能界の過渡期にこの世界に入った、という自覚はあります。ただ、先駆者になったとも思っていない。やりたいようにやっているだけです」
今、事務所には所属せず、マネジメント会社と業務提携しながら、フリーランスで活動している。「自分のやりたいこと」に近づけているか、と聞くと「それは間違いない」と言い切った。
「今、僕は自分にいただける仕事に対して、自分でジャッジできるようになりました。ただ、それは当たり前のことなのかな、と思うんです。
どんな世界でも、自分が選んで『やる』と決めた以上、結果がどれだけ悲惨なものだろうと、すばらしいものだろうと、責任は自分にある。
そういう同世代の方々が当たり前にやっていることを、やっと始められたな、と思います。人に判断を委ねていると、人は弱いから人のせいにしちゃうんですよね。でも、周りの人が大切だからこそ、絶対にそうしたくないなと思うんです」
岡田でも水上でも「僕がどうありたいか」
名前が変わったことが、大きかったのだろうか。
「僕にとっては、岡田健史だったからできることと、水上恒司だからできることは基本的に変わりません。岡田でも水上でも、僕という素材が、芸能界でどういたいか。『こうありたい』という思いは常に持っています」
言葉に深みが、眼差しに力強さが増した。
自分自身で成長したと感じるところを尋ねると、「人の痛みがわかるようになってきたことです」と切り出した。