スターバックスのドアの前では大声で通行人を怒鳴りつけているホームレスの男性がいた。スタバの店内に入ってみると、椅子は全て撤去されており、座って休める場所はどこにもない。

「かつては1スクエアフィート当たり月20ドル以上で店舗スペースを貸し出していたけど、今では月3ドルでも借りてもらえればいいほう。我々不動産業者は空室にしておくより、どんな店でも入ってくれた方が治安が保ててありがたいから安い賃料で貸し出している」(アレ氏)

郡政府が注射器を配布

 3番通りにあるこの商店街から徒歩数分のパリセイズ公園に行ってみると、観光の目玉である観覧車と海が一望できるゴージャスな景色が広がっている。

 その芝生の上には多数のホームレスの人々が横たわって寝ていた。またベンチの上には彼らの寝袋やビニール袋や毛布が山のように積まれて置かれている。

公園で寝ているホームレスが増えた(撮影/長野美穂)

 市の法人の派遣社員の男性が「とにかくドラッグが蔓延しているからね」と言い、見回りをしていた。警官の姿は見えない。

 なぜ路上生活をしている人々がドラッグを購入できる金銭を所持しているのか不思議だが、15ドルもあれば1週間分のメタンフェタミンなどのドラッグが路上で手に入るのだという。

 路上でのドラッグ・オーバードーズ死が増える中、ロサンゼルス郡公衆衛生局は、オーバードーズを防ぐ緊急薬を配布したり、エイズ感染を防ぐためにホームレスの人々に新しい注射器を配布し、使用済みの注射器と交換するサービスを、サンタモニカ市内の公園で行っている。

「これはホームレスの人々のケアに必須で、生命と公衆衛生を守るためにも重要なサービスだ」とサンタモニカ市は昨年の夏に住民への声明を出した。

 だが、幼い子どもを遊ばせている公園の地面に、使用済みの注射器が落ちているのを見て恐怖を感じる住民たちも多い。

殴られて意識不明に

 注射器配布サービスが行われているリード公園を訪れると、ホームレスの人々が寝ているすぐ横に幼児専用の遊び場があり、多くの幼児たちが、保護者に見守られて遊具で遊んでいた。

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意識不明になるまで頭を蹴られ…