八月というと真夏のイメージが強いと思いますが、実は歳時記では秋へ移り変わる晩夏です。季語にも「秋隣り」などがあり、夏から秋へと移りゆく様子が感じられますね。
そのほかの晩夏の季語と一緒に季節を見送る準備をはじめましょうか。

八月に入ると…夏のカウントダウンが始まる?

子供たちの夏休みもまだ半分にもならないこの時期、イメージと異なるかもしれませんが、歳時記は盛夏ではなく晩夏です。五月の初旬に「立夏」を迎えてから約三か月、また季節が移ろうとしているのですね。
とは言え、この時期の暑さはまだまだ、真夏日(30℃以上)を超えて「猛暑日」(35℃以上)が何日も続きます。ちなみに、「猛暑日」という言葉が気象用語して使われるようになったのは2007年からです。
そんな暑さ真っ盛りの中ではありますが、季節は確かな足取りで次へと向かっています。そう、秋はもうすぐそこまで来ているのです。

すぐ隣に「秋」がやって来るよ…

「秋隣り」という季語は、まさにあなたの隣に秋がやって来るよ…という意味です。
例えば、朝の風がほんの少し湿気が少なくなってきた、空を見たら雲がちぎれてうろこ状になってきた、店に並ぶ食べ物が変わってきた…そんな風に秋はいつの間にか隣にやってきます。
「やぁ、ひさしぶり。」というように。暑さにまいってしまう日々ですが、そんなちょっとした気配を探してみると「夏の果て」をしっかりと見届けられそうですね。

そして、空は確実に…

晩夏というと、台風、夕立、なども風物詩の一つです。季語では台風を「野分」と言います。「野分後」「野分来て」など翌日の風景を表すことが多い言葉です。台風自体は困ることが多いですが、野分の翌朝、洗い流された雲のない空や自然のシャワーで瑞々しくなった木々は少しだけ嬉しいものです。
また、最近では「夕立」が「ゲリラ豪雨」と表現されるほど強力になってきていますが、こんな雨が降り始めるのも空が季節を移り変わろうとしているからなのですね。
季節はいつも空と風から変わる。
立秋まであと数日です。隣に秋を感じつつ、今年の夏を満喫して見送りたいものですね。

《参考文献》
・俳句歳時記 夏 角川学芸文庫