そういう場も難しいようであれば、私だったらその、テーブルの下で太ももを触る的な肉体アプローチよりは、精神的なコスプレをしてかなり直接的に「え、じゃあ私と付き合えばいいじゃん」というような強気な提案を会話の中に入れ込むか、「温泉行きたくて死にそう」的な誘い水をするか、彼の性格で使い分けてなんとかやってきた気がします。思春期男子みたいな伝統的な裏技ですが、自分の家の近くの店へ「美味しいから」と呼び出して、「終電ないの? うち泊まればいいじゃん」という流れも、とりあえず一回寝ておきたい場合には使える気がします。男子がかつての女子化しているのであれば、やつらに必要なのはかつて男子がさんざん研究してホットドッグ・プレスなどが特集していたベタなテクを使える女子なのかもしれません。

 いずれにせよ、誘う女、というと杉本彩的な色気で足を組んで「坊や~♪」みたいなイメージが湧きがちですが、こちらのキャラに合っていないことをしても空回りしそうで怖いですよね。誘わないと悪いかな、誘ったら100%イケるなという空気をつくることくらいならできると思うので、まずはそのあたりから手を付けてみてください。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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