中学2年の夏休み前に、統合失調症の陽性症状である幻聴を発症した

――幻聴、幻覚を発症した学生時代を振り返っていただけますか。

 孤独でしたね。SNSでいろいろな情報を手に入れられる今とは違って、幻聴や幻覚に理解がない時代でした。医師から「加賀谷君は臭くないですよ」って言われても、額面通りに受け止められない。たとえ臭くなくても、僕が思っている現実が全てになってしまうんです。この苦しさを誰にも理解してもらえない。あきらめに近かったですね。

中1の時は友達がいて楽しかった

――幻聴を発症する予兆はあったのでしょうか。

 これが難しいんですよね。僕は小3から学習塾に通うのですが、中学受験で難関中を目指す有名学習塾の入塾テストに合格して。トップレベルの子が集まる一番上のクラスに入って勉強一色の生活でした。限界を迎えたのが小5です。ノートのページが急にめくれなくなり、黒板の内容を同じページの余白に書き写していたら、隙間がなくなって字で真っ黒になった。先生が異変に気付いて親に連絡して。塾を辞めて、中学を卒業するまで一度もノートを取りませんでした。精神的に追い詰められていたから、パーンと何かがはじけたのかもしれません。ただ、この出来事がその後の幻聴と関連性があるかと言われると分からない。中1の時は友達がいて楽しかったですから。記憶の限り、幻聴は突然来た感覚なんです。

小3から学習塾に通ったという
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自分のできる範囲で