現役ドラフトで巨人からヤクルトに移籍した北村拓己(写真提供・読売ジャイアンツ)
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 春季キャンプまであと1カ月を切り、各球団の補強もある程度落ち着いた印象を受ける。まだここからシーズン開幕までに駆け込みで選手を獲得する球団が出てくる可能性はもちろんあるが、現時点でオフに有効な補強ができていると見られる球団をトップ3という形で選んでみたいと思う。

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 まず最も積極的な補強を見せている球団といえば、やはり巨人になるだろう。かつてのようにフリーエージェント(FA)で大物選手を獲得しているわけではないが、課題となっている投手陣の強化を徹底して行っている印象が強い。まず大きいのがウォーカーとの交換トレードでソフトバンクから獲得した高橋礼と泉圭輔の2人だ。高橋は過去2年、一軍では0勝に終わっているが、昨年の二軍成績を見るとチームトップの79回2/3を投げて7勝1敗1セーブ、防御率1.24と圧倒的な数字を残しているのだ。140キロに迫るスピードを誇るアンダースローという希少性は大きな魅力で、セ・リーグでも活躍が期待される。

 泉も昨年はわずか3試合の登板と大きく成績を落としているものの、それ以前の3年間はいずれも30試合以上に登板しており、年齢的にもまだまだ若く余力が感じられる。外国人枠の都合で出番が限られていたウォーカーを交換要員としてこの2人を獲得できたのは嬉しい誤算だったのではないだろうか。他にも金銭トレードでオリックスから近藤大亮、現役ドラフト阪神から馬場皐輔を獲得。近藤は過去3度シーズン50試合以上に登板した経験を持つ中継ぎのスペシャリストで、昨年も二軍で33試合に登板して防御率1.08と結果を残している。馬場も投手陣の層が厚い阪神でなかなか出番に恵まれなかったが、昨年もリリーフとして一軍で登板した18試合に限れば防御率は1点台と安定した投球を見せていた。

 さらにここへ来て阪神を自由契約になったカイル・ケラーの獲得も発表。来日当初は打ち込まれて抑えから配置転換となったが、その後はしっかり復調し、これまでの2年間でイニング数を大きく上回る奪三振を記録しており、こちらも力は十分だ。ドラフトでは支配下の5人のうち、4人が大学卒の社会人選手という極端な指名は少し疑問が残ったが、今季の戦力ということだけを考えればプラスは大きいように見える。昨年まで2年連続でBクラスに沈んだこともあり、今年こそは必ず巻き返すという意図を感じるこのオフの補強と言えるだろう。

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巨人に次いで戦力アップしたのは…