「ポスト岸田」として国民の人気が高い石破茂氏

三木武夫と石破茂の共通点

 ただ、仮に岸田首相が24年に退陣したとしても、派閥の資金パーティー問題などで、現在は自民党そのものに強い批判が集中している。誰が新しい首相になっても、政権支持率が上がらないことも予想される。

「ここで思い出すのは三木武夫さんです。三木さんが首相に就任した1974年は、前首相の田中角栄さんの金脈問題に批判が集中し、自民党に強烈な逆風が吹いていました。そこで非主流派でありながら、極めてクリーンな三木さんに白羽の矢が立ったのです。これで世論の流れは変わりました。政権維持に執念を燃やす自民党による、まさに“ウルトラC”でした。今の時代に置き換えれば、党内に敵は多いが、国民には人気の石破茂さんを首相とし、彼の考える政治改革を思う存分やらせるようなものです。そこまでの覚悟を自民党が示すことができるのかどうか、これも24年の注目ポイントでしょう」(伊藤氏)

 また、伊藤氏は“上からの改革”だけでなく、自民党で“下からの改革”が活発化するかどうかも注目している。若手議員、特に安倍派の若手議員の動向が鍵になるという。

 前例としては、1988年に結成されたユートピア政治研究会がある。リクルート事件で自民党に強い逆風が吹いていることを問題視し、自民党の国会議員によって結成された政策勉強会だった。最終的なメンバーは17人で、うち16人が1年生議員だった。

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