傘の柄の視覚的なせいでもあるが、雅子さまの姿勢そのものも見事に真っ直ぐだ。
「足先を拝見すると、つま先もかかともしっかり揃えていらっしゃる。クラッチバッグを持った左手もしっかり伸ばして、お辞儀をするときに両手を前で合わせる位置に左手を持ってきていらっしゃいます。
傘はしっかり地面に対して垂直に持っていらして、これは周囲への配慮からなる型ですね。雅子さまは傘をさされたとき柄を肩に置かれることがないとお見受けいたします。雨模様だった春の園遊会のときの傘の持ち方もそうでした。このような傘の持ち方ひとつとっても、全体的に美しい姿勢の印象につながるのではないかなと思います」
あいにくの雨模様だったからこそ、際立った佇まいの美しさだったともいえる。西出さんは「マナーの基本を心得ているからこそ」という。
堂々としていながら謙虚さも
「私がマナー指導を行うときにマナーの基本の五原則をお伝えしています。これは、1が表情、2が態度・姿勢、3が挨拶、4が身だしなみ、5が言葉遣い。私が拝見した報道された画像からでは音声がなかったため言葉遣いはわかりかねますが、拝見する限り、表情は下を向いていても微笑み、態度・姿勢は堂々としている中にも謙虚ささえも感じさせるほど完璧で、身だしなみも服装、アクセサリー、バッグ、傘もブルーで統一されており、本当に素敵でいらっしゃいました。
雅子さまはこうした基本を押さえていらっしゃるからこそ、今回のように雨が強まってきてしまった中であいさつをするという場面でも、臨機応変にきちんと行動なさることができる。
公務の場面で雨が降ってしまうと天皇陛下や雅子さまに何か失礼があってはならないと考えるものですが、逆に天皇陛下もそうですが雅子さまも国民のみなさんに失礼がないようにというお気持ちが伝わってくる光景でした。心からの気持ちがあるからこその姿がお辞儀などの形として表現されるのではと思います。そこまでも感じさせてくださるところが令和の皇室らしさでもある感じがいたします」
秋は皇室の方々がお出ましの機会も多い。11月2日は天皇、皇后両陛下が主催する秋の園遊会もあるが雅子さまの美しい姿も楽しみでならない。
(AERA dot.編集部・太田裕子)