話すことで元気になって行く人は、多い。たとえば、女性たちの会話。
まったくかみ合っていない。みんな好き勝手なことを話している。
でも、最後には、みんな笑顔になっていたりする。
「楽しかったわ。またね」
と、言って別れる。
わたしの母親たちの会話も本当にそう。
実際に見たわたしの母と友人たちの会話。
「嫁の悪口を言わないようにしているの」
「そういえば、最近、ゴミの日以外にゴミ出す人いるよね」
「そうそう。来週、医院に行かないとダメだわ」
「どこか悪いの? わたしは、マジック教室に行かなきゃ」
「そういえば、タレントの◯◯さん、癌らしいよ」
「記者会見見たわ。まだ若いのに。そういえば、最近、歯にガタきてるのよね」
「死んだときのこともそろそろ考えておかなきゃ」
かみ合っているのか、いないのか、まったくわからない。
でも、みんな笑顔で楽しそうに話をしている。
ところで、わたしは、講演をする人のために「講師塾」を開催している。
もともと人前で話をする人のための勉強の場だったけれど、経営者、主婦、OLなどいろんな人が参加する。
そして、参加者みんなが、
「なんか、スッとしたわ」
「頭の中、まとまったわ」
そう言って帰っていく。
ある日、参加者のビジネスマンのひとりに言われた。
「これ、セラピー効果があるかも……」
そんなこと考えたこともなかった。
ただ、思い当たるふしはあった。