当然ながら、炎上するアメリカの軍艦にも若者たちが乗っていたはずです。お互いに会ったこともなく、個人対個人では何の関わりもない少年たちが殺し合い、空襲では幼い子どもまで無差別に爆撃されたのですから、実に惨(むご)い、理不尽なことです。1930年代生まれの私の両親も、かつて降り注ぐ焼夷弾(しょういだん)の下を逃げた子ども達でした。
年末には、今が過去の未来であることがいつにも増して切なく思われます。どんな人にも必ず、最後の年末が訪れます。そうとは知らずに新年を迎えるのは皆同じです。けれど、抗えない力によって平穏な暮らしが取り上げられることのないよう、人が名前を奪われて殺し合いの道具にされることのないよう、焦土に無念の最期を遂げることのないようにと、心から祈ります。
※AERA 2024年1月1-8日合併号