――もし高岡さんが、今現在ジャニーズタレントを起用している会社の社長だとしたら、どのような対応をとりますか。

 私なら契約は解除しません。なぜなら、契約金がもったいないし、契約を続けても売り上げは落ちないと思っているからです。今、市場調査したら、ほとんどの人は、ジャニーズのタレントが広告に出ている商品は買わないって言うでしょう。でも、それはうそです。

 買うとは言いづらいから、買わないって答える人が多いだけで、回答結果と実際の購入行動が一致するとは限らない。それを理解したうえで判断するのがマーケティングのプロであり、企業としての正しい姿勢だと思います。

――性犯罪という人権侵害が明らかになった以上、ジャニーズ事務所の改革に向け、取引先の企業もアクションを起こすべきだという指摘もあります。

 みなさん、ジャニーズの企業体質を変えろって言いますけど、加害者本人がいない今、何をどう変えるべきだと思っているのでしょうか。社名を変えれば、体質は変わるんですか? トンチンカンすぎて、グローバルでは笑われますよ。

 隠蔽(いんぺい)体質を責めるつもりなら、取引企業やメディアも、性加害の実態を知らないふりして、あるいは知ろうとしないで、一生懸命ジャニーズにお金を投じてきたわけなんだから同罪でしょう? それをなぜ、ジャニーズだけの責任にして、誠意を見せろ、反省しろって徹底的に攻撃するのか。

 メディアの影響も大きいと思いますが、正直、私はその世論のほうが許せないです。ジャニーズ事務所についてどうこう議論する前に、まずは自分たちの会社のガバナンスを反省して、見直すことから始めるべきだと思います。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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