アイドルグループ TOMORROW X TOGETHER (c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

 名実ともに世界のトップスターの仲間入りを果たしたTOMORROW X TOGETHER。プレッシャーを力に変えてきた5人は、さらなる挑戦と飛躍を誓う。AERA 2024年1月1-8日合併号より。

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 真っ暗なサブステージに横たわるHUENINGKAIとYEONJUN。音楽に合わせ起き上がると、おもむろに踊りはじめた。その舞いは、しなやかで美しい。メインステージに光がともると、中央にSOOBINとTAEHYUN、BEOMGYUの姿が見えた。こちらは力強いダンスだ。5人が合流し、本格的にステージがスタートする。歌のサビ部分で、ハッ、フッというメンバーたちの色気のある吐息が聞こえると、そのたびに4万人の悲鳴にも近い歓声が響き渡った。11月28日に東京ドームで行われたアジア最大級の音楽授賞式「2023 MAMA AWARDS」の光景だ。

 BTSを世に送り出したBIGHIT MUSICを傘下に置く現HYBEが、BTSの世界的ブレイク後に送り出した最初のグループ。それゆえ、デビュー前から世間の好奇心と期待の大きさは、並々ならぬものがあった。だが5人はそんな外圧を、むしろ力に変え、進んできた。

 デビュー初期は、夢幻的な雰囲気と少年感を全面的に打ち出していたが、彼らが曲作りに関わる割合が増えると、メンバーたちと同世代の若者たちが感じる閉塞感や焦燥を表現した歌詞を歌うように。徐々に共感が広がっていった。

 デビュー5年目となる2023年。彼らは、さらに大きく飛躍することとなった。23年に韓国で出した2枚のアルバムは、ダブルミリオンセラーを達成。日本では初の京セラドーム大阪公演を行い、米国の権威ある音楽授賞式「2023 MTV Video Music Awards」で「年間最優秀MTV PUSH パフォーマンス賞」を受賞した。名実ともに世界のトップスターの仲間入りだ。24年の抱負を聞くと、BEOMGYUは言った。

「僕たちの限界を超えていきたい。この道にゴールは、ないから」

 彼らの乗勝長駆は、まだまだ続く。(ライター・酒井美絵子)

AERA 2024年1月1-8日合併号