聞き方と話し方の技術を磨きあげることで、月収20万円のOLから、年商1億円の「オンライン起業スクール」のカリスマ経営者になった女性がいる。アメリカ16代大統領リンカーンの当選メソッドも取り入れた、彼女の成功法則とはなんなのか。本稿は、三浦さやか『ごく普通のOLが1億円を生み出した「聞き方・話し方」の法則50』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
お金を生む「聞き方」の極意 うなずきは会話を加速させる
コミュニケーションの場において、聞き方と話し方の“黄金比”は9対1。
「全体の9割は相手の話を聞く姿勢」が理想的とされます。
非言語コミュニケーションも重要とされ、ここでは特に「うなずき」にスポットを当ててお話しします。
言葉を発しなくても、うなずくだけで、話し手に「親しみやすい」「話しやすい」と感じてもらいやすくなります。
「うなずき」とは「あなたの考えを受け入れます」という意思を手軽に、かつ効率よく伝えられる、コストパフォーマンスに優れた手段なのです。
ただし、よく見られる「小さく、弱いうなずき」には、あまり期待できません。
うなずき効果を意識しながら、「大きく、強い相づち」を習慣にしてみてください。
特に、オンライン上では「大げさかな?」と気になるくらいのオーバーリアクションがおすすめです。
カメラ越しでは、「小さく、弱いうなずき」は、より目立たなくなるからです。
私が、あるメディアに取材されたときの経験をお伝えしておきましょう。
オンラインで、初対面の記者さんに取材をしてもらったことがあります。
その記者さんのうなずき方が絶妙だったので、面識がなかったにもかかわらず、私の緊張はすぐにほどけました。また難しい質問も多くいただきましたが、伝えたかったことを、臆せず雄弁に伝えることができました。
つまり「リアルに対面していない状況」で「聞き手とは面識がない」という二重に悪条件の取材でしたが、聞き手の“うなずき効果”のおかげで、会話は予想以上に弾んだのです。
また、話し手のペースに、うなずきの速さを合わせられれば“上級者”です。
相手が早口でテンポよく話しているときには、軽快に何度もうなずく。
真面目なことや、重いテーマを話しているときには、深くゆっくりうなずく。
そんな気遣いも、相手への共感を表す表現になります。
さらに余裕があれば、肯定的な相づちもセットで使いましょう。
たとえば「はい」「確かに」「そうですね」などの相づちです。
小泉進次郎さんが、以前「好感を持ってもらう相づち」として、次の5つのフレーズを紹介されていました。その頭文字をとると、「さしすせそ」になります。
もちろん、この5つのフレーズだけに限りません。
肯定的、建設的な言葉であれば、会話の促進剤になってくれます。
ポジティブな語彙を増やして、うなずき&相づち名人を目指していきましょう。
カッコ悪い昔話で聞き手との心の距離を縮める
「自分のカッコ悪い部分については、恥ずかしいので隠しておいていいですか?」
こんな質問もよくいただきます。そのお気持ちはよくわかります。
ただ、弱みや欠点、失敗など、一見ネガティブに感じられることのほうが、他人の心に刺さりやすいのです。
アメリカ合衆国の大統領、エイブラハム・リンカーンは大統領選で、「私は多くのアメリカ人と同様、貧しい家に生まれた」と、自分の生い立ちを包み隠さず話しました。
その結果、多くの大衆から好感を持たれたと専門家が指摘しています。
さらに言うと、マイナスな部分を打ち明けるとき、数値が入っているなど、表現が具体的であればあるほどインパクトを増して聞き手に伝わります。
たとえば私の自己紹介では、「手取り20万円の普通のOL」「最初は月1万円も稼げない」「睡眠時間も3時間」のようなワードを使っています。
すると、聞き手は無意識のうちに「今の自分と(昔の自分と)似ている」と比べることになり、関心が呼び起こされたり、共感したくなったりします。
自分の弱みを話すことで、聞き手の警戒心を解き、心理的な距離をぐんと近づけることができます。
ですから、SNSの投稿やライブ配信で日頃から自己開示ができていると、それを見聞きした人は無意識のうちに親近感を持ってくれるようになるというわけです。
実際、私は好意的なコメントと同じくらい、お悩み相談も数多くいただきます。
「私も、昔のさやかさんと同じく普通のOLですが、○○に悩んでいます」
「さやかさんのように仕事と育児を両立させたいのですが、○○に困っています」
このように、自身の私的な事柄を開示して相談してくださるのは、「あのような体験をしたさやかさんだから、わかってくれるはず」という信用があるからでしょう。
それは、とても光栄なことです。
このように、人間関係の構築のためにも「カッコ悪いところ」も含め、自分の行動や考えを明らかにしていく姿勢は大事です。
「恥ずかしい」「炎上が怖い」などの理由で、自己開示を避けていたら、「何を考えているのかわからない人」と捉えられ、興味を失われかねません。
過去の失敗や恥ずかしいこと、そして現在の悩みなども、話すことで相手に好感を与えることができます。
それは「自分が信頼されている」「自分が大事にされている」という証拠だからです。
つらかった経験も、笑ってネタとして伝えられるようになれば、最高ですね。