.ロッテワールドタワーの「クリスマスタウン」は長い列ができていた

 このフォトゾーンのおかげで、ロッテワールドタワーとロッテワールドモールの1日の訪問客の数は前年同期比で約21%も増加した。12月の第1週末だけで47万人が訪れた。「フォトゾーンの集客効果は絶大だ」というショッピングモール経営陣の声が聞こえてきそうではある。

売り上げは伸びず本末転倒

 しかし、これだけの人がやってくるとさまざまな問題が起きてくる。たしかにクリスマスのロマンチックな雰囲気を感じることができるが、写真を撮るためにやってきた人や列のせいで、買い物に来た客から不満が出はじめている。ロッテワールドモールで会った会社員(34)の夫婦は、「もう帰ります。あまりに人が多くてゆっくり買い物ができない」と困り顔で話してくれた。テナントからも声があがりはじめている。コスメ店の店長(44)は、「来店者が急増したっていうけど、うちの売り上げはまったく伸びない。みんなフォトゾーンに行ってしまう。これでは本末転倒ではないか」と不満げに語る。

 筆者が訪ねたときも、フォトゾーン付近を通るとき、写真を撮る人波でしばらく前に進めなかった。ショッピングモールは買い物の場所ではなくSNSに載せる「映え写真」を撮る場所になってしまっている。「フォトゾーン拡充方針は空振りだったのでは……」といった厳しい意見も出はじめている。

ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト)

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