平日でも人出が絶えない韓国・ソウルの汝矣島(ヨイド)。このエリアのホットプレイスと呼ばるマルチショッピングモール「ザ・現代ソウル」が最近、SNSで話題になっている。早くても1時間待ちは必至といわれる長蛇の列がいつ行ってもできているという。長い列と聞くと、その先にどんな人気飲食店があるのか……と考えてしまうが、列をつくらせているのは飲食店ではない。クリスマスフォトゾーンと呼ばれる施設だった。
クリスマスシーズンのソウルには、大型のクリスマスフォトゾーンをつくるところが多い。この時期にソウルを観光したことがある日本人なら一度くらいは目にしているかもしれない。明洞(ミョンドン)駅近くの新世界百貨店本店は、毎年、外壁に大型クリスマススクリーンを設置する。幻想的なスクリーン映像に見入る外国人観光客も多く、「写真を撮らずに通り過ぎることができない」とまでいわれている。
ソウルのショッピングモールは今年のクリスマスフォトゾーン開設に多くの資金と時間を投入した。「ザ・現代ソウル」は規模を大幅に拡大。地下鉄2号線蚕室(チャムシル)駅近くの「ロッテワールドタワー」は野外フォトゾーン「クリスマスタウン」をつくった。ロッテの発表によると、このクリスマスタウンはロッテ物産、ロッテデパート、ロッテワールドの3社が共同で、約10カ月かけてつくったといい、敷地の広さは6千平方メートルもあるという。
3四半期連続で減少
理由は物価高による流通業界の売り上げの低迷である。ロッテの場合、1~3四半期の百貨店営業利益が昨年同期比で下落した。「ザ・現代ソウル」は開店2年9カ月ぶりに年の売り上げが1兆ウォンを突破したが、人件費や各種支出などの影響で、運営会社である現代百貨店の営業利益は3四半期連続で減少している。現代百貨店の今年の売り上げは昨年同期比26.8%減少した。新世界百貨店も、今年1~3四半期の営業利益は下落している。今年の総売上も予想を下まわる見通しだ。クリスマスフォトゾーンに各社が入れ込むのは、営業不振を回復させるための“起死回生”の自助策だった。