ミュージシャンが社会的なメッセージを発することについて
――よく言われることですが、日本ではミュージシャンや俳優などが社会的なメッセージを発しづらい雰囲気があります。そのことについてはどう感じていますか?
他の人のことはわからないですけど、僕自身は「それで売れなくなるなら仕方ないかな」と。「(政治的、社会的な発言に対して)そんなこと言わないで」とファンの人に言われることもあるし、それで自分たちの音楽が聴きづらくなるのは申し訳ないなという気持ちもあるんですよ。ただ、社会的な問題や人道的な問題に対して何か言うことで、自分の曲が聴かれなくなるような社会だったら、もうしょうがない。それは受け入れようと思っています。だって「子どもたちの虐殺をやめろ」と言うことで仕事がなくなったとしたら、そっちのほうがおかしいじゃないですか。大丈夫ですよ、そうなったらもう一度SHELTER(東京・下北沢のライブハウス)のオーディションから始めるので(笑)。また自分たちで場所を探してライブをやればいいし、商業的な成功がすべてではないですからね。自分たちも商業的なタイアップで曲を作ることもあるし、「偉そうに言うな」という話かもしれないけど、最終的には音楽は一人でも作れるから、という気持ちでいます。理解してくれたり、間違ったら諭してくれる仲間も周りにいますしね。
――素晴らしい姿勢だと思います。「朝からロック」はシリアスなテーマだけではなく、後藤さんの何げない日常もテーマになっていて。第1章「ひとりゴチる〈日々の章〉」はまさにそうですが、構成は出版社の編集者に任せていたそうですね。
はい。「ひとりゴチる」は僕の名前とかけているんだろうけど、自分で考えたと思われたらちょっと恥ずかしい気もしています(笑)。でも、こういうときはいちばん盛り上がっている人に乗っかるのがいちばんいいと思ってるんですよ。バンドもそうで、喜々としてアレンジしているヤツからいいアイデアが出てくるし、可能性も広がるんです。この本に関しては編集の方がすごく楽しく盛り上がってくださっていたので、お任せしようと。