2024年は日米とも金融政策が転換点を迎える。写真はイメージ (c)gettyimages

――24年を展望する上で気になる動きはありますか。

 1月の台湾の総統選と11月の米国の大統領選に注目しています。

 ただし、台湾総統選の直後は、与党である民主進歩党の候補が勝つにせよ、野党である中国国民党の候補が勝つにせよ、あまり大きな違いはないでしょう。与党も野党も、米国と中国という二つの大国の間で微妙なバランスを取りながら政策を運営していかなければならない点で変わりがないからです。

 台湾は米国の軍事力に支えられて存在しており、米国との連携が損なわれれば、その存在は脅かされてしまいます。一方で、経済の面では中国に依存する部分が大きい。与野党とも、そのバランスの中でかじ取りする必要があるわけです。

――米大統領選をめぐってはトランプ前大統領の優勢が伝えられることも増えてきました。

「トランプ氏が大統領になると何をするか分からない」と不安に感じる人も少なくないでしょう。しかし、ロシアや中国、イランといった専制的な国に対し、日欧など同盟国との連携を強めて抑え込んでいく構図に変わりはないと思っています。

 トランプ氏は口では「米国ファースト」と言いますが、今のような状況になった以上、米国だけ同盟関係から抜け出すようなことはできないと思います。確かに、選挙対策でいろいろなことを口走り、混乱を招く場面も予想されますが、最終的には大きな政策転換は起きにくいと考えています。

 経済政策でも、株価を暴落させるようなことを行えば、それこそ「失敗」の烙印を押されてしまう。株価を意識した政策を取らざるを得ないでしょう。それはバイデン大統領でも同じことです。

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