――米国経済の悪化も心配されています。

 米経済は底堅く推移し、24年は3%近い成長を遂げる可能性もあるとみています。米連邦公開市場委員会(FOMC)は2%以下を見込んでいますが、その数字でも「リセッション(景気減速)」とは言い難い。

 米国ではこれから利下げが進み、さらに「チャットGPT」をはじめとする生成AI(人工知能)など新たなイノベーションがどんどん生まれています。仮に景気が減速するようなことがあっても、時間をかけずに持ち直すと思います。

――日経平均が4万円からさらに上抜けるのに必要な条件は何でしょうか。

 短期的には、金融緩和策と財政出動を続けられるかがポイントになると思います。企業の業績はすでに回復に向かっています。今は企業が生み出した付加価値を、いかに需要創造に結び付け、好循環を作っていけるかが問われています。

 前向きの循環はもう起こり始めていますから、例えば、金融政策の正常化や増税策を極端な形で進めてしまうなどして、その循環の流れに水を差すことだけは避けたい。

――24年は新NISA(少額投資非課税制度)も始まります。

 個人にとって資産形成を図る上でかつてないチャンスです。これまで資産がなかなか増えなかった理由の一つに、給料が上がらなかったことがあると思います。加えて、金利が低く抑えられてきたことがある。

 ところが少しずつですが、日本でも金利が上向いてきたことで、株式など、リスクはあっても十分なリターンが期待できる資産に配分しようという気運が出てきています。新NISAは、そうしたムードのけん引役になり得ます。NISAを使えば、株式などの売却益や配当に税金がかからなくなりますから、より早いスピードで資産を増やせるようになります。

 米国で何十年も前に起きた「運用革命」が、日本でも起きようとしています。その波にうまく乗れれば、10年で資産を2倍や3倍に増やすことだって不可能ではありません。ぜひそうしたチャンスをモノにしたいですね。

(AERAdot.編集部・池田正史)

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