「氷川きよしが作った華やかでにぎやかなイメージの延長線上に、次の世代の若手イケメン歌手が続々と登場し、存在感を示し始めています。『演歌第7世代』と呼ばれる辰巳ゆうと、真田ナオキ、新浜レオンらです」
市場の状況も、数年前と比べると激変している。ヨーロー堂でも、CDの売れ方に近年大きな変化がみられるという。
「コロナ禍の直撃で、いわゆるカラオケ需要が激減しました」(松永さん)
コロナ禍で複数の人が集まってカラオケを披露する機会が減ると、カラオケの持ち歌として練習するためにCDを購入する機会も減ってしまうというわけだ。
「誰よりも早く新曲を手に入れて覚えて歌いたいという方も多かったのですが、ずいぶん減ってしまいました」(同)
その一方で、サイン会やCDのお渡し会といった、人気歌手に「会える」イベントは活況を呈している。ヨーロー堂の店舗2階には歌手がステージを披露できるスペースがあり、さまざまな歌手がイベントを開催してファンを生歌で魅了している。
「女性ファンの熱量はやっぱりすごいですね。熱心にイベントに通われる方は多いです」(同)
群雄割拠の中、今やルックスや歌唱力だけでスターになるのは難しい。三山ひろしのけん玉や、純烈の「スーパー銭湯アイドル」といった強い“キャラ付け”を加えた売り出し方が主流になりつつある。そうした流れの仕掛け人でもあるのが、日本クラウン宣伝部の吉野琢庸さんだ。
「氷川さん、さらに上の大御所の方々は地に足をつけた売れ方をしていた。正統派が並ぶ中、何か新しい方法で仕掛けようと思い、『ギターソロがあるんだから、けん玉ソロがあってもいいんじゃない?』と、三山の趣味・特技のけん玉を生かし、歌いながらけん玉をやる“けん玉演歌歌手”として売り出しました」
ド演歌ではない耳なじみ良い曲
ハチャメチャな発想にも思えるが、その三山も今や紅白の常連で、22年末で出場は8回目。しっかりした実力にキャラ付けを加えることで幅広い注目を集められることを証明したと言えるだろう。今回で5回目の紅白出場を勝ち取った純烈も、そうした成功例の一つだ。