館内は鮮やかないちご色

隈研吾氏が設計。丘の上に立つ文学館の外観は、角野文学に出てくる洋館のよう(撮影/写真映像部・高野楓菜)

子どもも大人も自分だけの一冊が見つかる文学館

 旧江戸川をのぞむ小さな丘の上にあるのが、角野栄子さんが館長を務める「魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)」だ。白い積み木のような建物の中に一歩入ると、館内はすべて「いちご色」。鮮やかなピンク色で塗られた壁に囲まれ、うさぎの耳をモチーフにした椅子に座り、壁一面に並ぶ蔵書の中から、自由に本を選んで読むことができる。角野さんも「お薦めの過ごし方やお薦めの本はありません。お薦めがないというのがお薦め」と笑う。本棚には角野作品だけでなく、日本、韓国、中国などアジアからイギリスやアメリカまで古今東西、いろいろな国の児童文学や絵本が並べられている。子どもはもちろんのこと、親世代も、懐かしい本や、海外旅行で訪れた国の本に出合うことができる。

 また3階のカフェ「カフェ・キキ」には「キキライス」(オムライス)、「おばけのアッチ」に登場するふたごのねずみにちなんだ「チとキのサンドイッチ」など角野作品にちなんだメニューが並ぶ。カフェで一休みして、インスタ映えする写真を撮影するのもいい。ちなみに「カフェ・キキ」は家族で一緒に行くのもよいが、大人が一人で過ごすにも最適な場所。カウンター席もあるので、蔵書を読むのはもちろん、パソコンで書きものをしたり、物思いにふけったりするのにもぴったりだ。(編集部・工藤早春)

AERA 2023年12月18日号

魔法の文学館/東京都江戸川区南葛西7-3-1なぎさ公園内、開館時間は9:30~17:30(火曜日および年末年始は休館)、入館料は一般700円、中学生以下300円(3歳以下は無料)、来館には公式サイトから予約が必要