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作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 考えたくはないですが、最悪の場合を設定して、その場合はどうしようと対策を練るのは、とても大切なことだと思います。

 そういう意味で「最悪を考える」ことは、とてもポジティブな意味があります。

 ネガティブな意味は、「最悪を考える」ことで、思考を止め、自分で自分を責めて満足してしまうことです。

「最善の対策」を用意するのではなく、ただ、「人に責められる前に自分で自分を責めよう。辛くて痛いけれど、人に面と向かって責められるよりまし。これでしばらく生きていける」と「最悪を考える」ことに慣れてしまうことです。

 もずくさん。もずくさんがそうだと言ってるんじゃないですよ。ただ、「わざわざ自分を傷つけるものに接する心理」には、こういうことがあるんじゃないかと僕は思っているということです。そして、それに対する判断も二つあると思っているのです。

「できれば止めたいと思っている」ともずくさんは書きます。もし、当たっていると感じたら、やることははっきりしています。

「最悪なこと」に接したのですから、「最善の対策」を始めるのです。「自分の趣味もない母親なんて子供から見ても重いしつまらない」という記事を読んで傷ついたら、趣味を何か始めればいいと思います。

「アラフォーのオバサンは若い子に嫉妬している! 見た目だけじゃなく心も何もかも若い子より劣る!」なんて記事を読んだら、見た目に気をつけ、心の栄養になることを始めましょうか。本を読んだり、時間を見つけて美術館に行ったり、若い子より心を充実させる方法はたくさんあるでしょう。

「専業主婦は全ての能力が低い」という記事には、多くの専業主婦の人達が苦しめられている可能性があります。ネットでは、「専業主婦の労働を賃金で計算したらいくらになるか?」というデータがたくさんあります。

 その数字は、間違いなくもずくさんに元気をくれるものが多いです。それにひとつひとつ接していくことで、気持ちはずいぶん変わるはずです。それがまずはスタートラインだと思います。

 もずくさん。どうですか? 最悪のことに接しながら、最善をイメージする生活。ちょっと楽しいと思うんですが。

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