入団時の阪神ファンの反応を考えれば、現在の活躍は想像しがたかった。16年ドラフト1位で入団したが、この年のドラフトは「投手の豊作年」と言われていた。大学生は田中正義(現日本ハム)、佐々木千隼(現DeNA)、柳裕也(現中日)、高校生は今井達也(現西武)、寺島成輝(元ヤクルト)、藤平尚真(現楽天)とタレントがズラリ。阪神は即戦力投手を指名すると予想され、佐々木を1位指名で有力候補に挙げるメディアが多かったが蓋を開けると、白鴎大のスラッガー・大山を単独指名。大学球界を代表する強打者だったが地方大学で知名度が高いとは言えなかったため、意外な選手の指名にドラフト会場に詰めかけたファンから、「あ~……」とため息が漏れた。
「田中に5球団が競合し、柳に2球団が競合しましたが、佐々木は1回目の1位指名で名前が呼ばれなかった。『外れ1位』でNPB史上最多の5球団が競合し、ロッテが当たりクジを引き当てましたが、阪神は佐々木を1位で獲得できたのにというネガティブな声が多かった。ただ、それは結果論です。大山を2位、もしくは外れ1位で指名を検討していた球団があったので、もし阪神が佐々木を1位で指名していたら、大山を獲得できていたか分からない。金本知憲元監督の強い希望で大山を1位指名しましたが、その後の活躍を見ればこの決断が間違いでなかったことを証明しています」(スポーツ紙アマチュア担当記者)