生き方の軸をシフト

 多くの50代を取材してきた経験から、体力面での衰えは出てくるものの、新たなチャレンジもまだ可能だと感じるという。

「60歳では腰が重くなるかもしれませんが、50代ならば生き方の軸を自己実現にシフトできる。自分のことを諦めずに、魅力的な自分で人とつながっていける。大切なのは、自分の本音に気づき、どう生きていきたいかを考えることです」(有川さん)

 その言葉にうなずくのは、2021年に滋賀県近江八幡市でデイサービス施設「コンパスウォーク」を立ち上げた志村知美さん(50)だ。40代になってから離婚し、再婚をきっかけに、それまで一度も訪れたことのなかった同市で暮らし始めた。

「離婚する時、とても悩みました。でも我慢するのはやめよう、と。一度きりの人生で後悔したくなかった。知らない土地でのビジネスに不安もあったけど気力はまだあるので、踏み出せた」(志村さん)

(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年12月18日号より抜粋

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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