「マイカーの普及もあり、大都市の郊外の霊園の開発も進みました」(島田さん)
墓を建てた世代が高齢となり、少子化も進むと墓の維持は困難になってくる。
「後継者がいないのなら早い時点で『墓じまい』をした方がいい。墓参りに行った時や、親族が集まる年末に話し合ってみては。敷居は確実に低くなっています」(島田さん)
墓に代わるものとして「納骨堂」や「永代供養墓」という選択肢もあるが、懸念もあるという。
「納骨堂はメンテナンスが大変だし、募集に失敗し潰れてしまったところもあります」
そこで島田さんが提唱するのは「0(ゼロ)葬」だ。「通夜や葬儀は行わず、遺骨は火葬場で処分し、お墓も不要」とする、新しい弔い方だ。
「自然葬、散骨も選択としてはありますが、火葬した骨は実は強固で、簡単には自然に還りません。それなら、火葬場にすべてお任せして引き取ってもらう方が良いです」(島田さん)
西日本では遺族が遺骨の一部を持ち帰り、残りは火葬場で処分するケースが定着している。これが東日本でも増えつつあるという。(ライター・加賀直樹)
※AERA 2023年12月18日号