気になるのは成績が年々悪化していることだ。翌22年は9勝12敗、防御率3.31。負け数はリーグワーストだった。オフに推定年俸9億円から大幅ダウンとなる推定4億7500万円プラス出来高払いの単年契約でサイン。復調を誓った今季だが、防御率はプロ17年目で自己ワーストの数字に。139回1/3と規定投球回数にも届かなかった。日米通算200勝まであと3勝に迫っているが、置かれた状況は厳しい。先発の座が確約されているとはいえないからだ。

 当確といえるのは岸、荘司康誠の2人だろう。39歳のベテラン右腕・岸はチーム最多の9勝をマーク。直球は140キロ前後と田中より遅いが、球速以上の体感速度で空振りを奪う。将来のエースと嘱望されるドラ1右腕・荘司は5勝3敗、防御率3.36と合格点を与えられるプロ1年目だった。さらに、救援で53試合に登板し、防御率2.28をマークした内星龍も来季の先発転向が決まっている。山本由伸を彷彿とさせる投球フォームでスケールの大きさを感じさせる右腕は、大化けの可能性がある。

2014年にヤンキースに移籍し、先発で稼働した

野球人生の正念場

オリックス西武と生え抜きの若手が先発ローテーションに定着しているように、楽天も20代の投手たちの奮起が求められる。左腕・早川隆久は一本立ちしてもらわなければ困る投手だし、瀧中瞭太、藤平尚真、松井友飛、藤井聖も先発ローテーション定着に向けて殻を破ってほしい。先発の柱として長年活躍してきた則本昂大は今年も8勝8敗、防御率2.61と奮闘しましたが、松井裕樹がFAでメジャー移籍するため来季は抑えに配置転換されることが決まりました。先発の層が手薄な状況で今オフは助っ人外国人投手の補強に動くでしょう。実績十分の田中だが過去の3年間と違い、来季はチャンスが何度も与えられるわけではない。今江敏晃新監督の下で春季キャンプ中の実戦、オープン戦で結果がふるわなければ、先発ローテーションの座を剥奪されることもありうる。本人も自分の置かれた立場は分かっているでしょう。野球人生の正念場となるシーズンになります」(仙台のテレビ関係者)

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若手の模範となる自覚を