――特に印象的だった、お客さんとのエピソードは?
えー、いっぱいあるなあ。ある夜、最終列車の発車待ちの東京駅のホームに、ぶちゅぶちゅ(※キスやハグ)しているカップルがいたんです。映画の「私をスキーに連れてって」みたいなきれいなシーンだったんだけど、本当に別れがつらそうで。男性が山形に行く人で、女性は東京の人だったの。
で、プルルルルって発車ベルが鳴ったとき、その女性に「宇都宮までだったら1時間半くらいで戻ってこれますよ」って声をかけたら、ドアが閉まる直前に飛び乗ったんです。ロマンチックでしたねー。結局その彼女、山形まで来ちゃって、その後二人は仲良くゴールインしたそうです。要は、私っておせっかいなんですけど、この件についてはキューピッドと言ってほしい(笑)。
――2012年に、15年間続けた販売員の仕事を辞め、講演・研修講師として独立したのはなぜですか?
きっかけは、東日本大震災でした。当時、山形新幹線には、被災した家族や友人を探しに仙台に行く方がたくさん乗車されたんです。こちらも販売する商品が入ってこなかったんですけど、「私たちがいれば、お客さまは安心してくれるはず」と、体一つで乗車していました。