「瀕死の大学自治にとどめを刺す」と、国立大学法人法改正案の廃案を求め大学教員らが緊急会見を開いた=11月7日、朝日新聞社撮影
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 国立大学をめぐる「第二の学術会議問題」と呼ばれる、法改正案が国会で審議中だ。「学問の自由の危機」「大学自治への死刑宣告」と教員や学生らから怒りの声が上がる。

「心からのお願いです。皆様、憲法第23条の『学問の自由』の守護者になってください」

 隠岐さや香・東京大教授(科学史)は衆議院の参考人質疑でそう訴えた。

 現在、「第二の日本学術会議問題」「大学の自治への死刑宣告」と呼ばれる、国立大学法人法の改正案が国会で審議中だ。衆議院を通過し、参議院での本格的な討議に入る。

文科相が委員を承認

 改正案は、東京大や京都大など、一定以上の規模の国立大学5法人に、強い権限を持つ合議体「運営方針会議」の設置を義務づけるもの。

 合議体は学長と学外の有識者も想定した3人以上の委員で構成され、文部科学相が承認し学長が任命する。大学の中期目標や計画、予算や決算の決定を行い、それに基づいた運営でない場合、学長に改善を要求できる。さらに学長選考に関して意見を述べることも可能だ。

 前出の隠岐教授は「非常に危険な法改正」と話す。

「特に危険なのが『強力なトップダウン+委員は文科相の承認が必要』の部分です。国が大学運営に介入することを可能にし、『学問の自由』が危ぶまれます。盛山正仁文科相は委員の承認について、政府と主義主張が異なる人物だったとしても、明らかに不適切な場合などを除き『拒否できない』と国会で答弁しましたが、学術会議の前例があります。日本は国際的な『学問の自由度指数』で下位30%台と現状でもけっして良くありません」

 2004年の国立大学法人化以降、国はトップダウン型のガバナンス改革を一貫して大学に要求してきた。

「スタンフォード大など米大学をまねようとしているのだと思います。しかし、米大学はトップダウン型である一方、ボトムアップの仕組みもきちんと確立されています。これに対し、日本は一連の大学改革でボトムアップの仕組みを無効化させてきました。改正案が通ったら、大学は『ブレーキを欠いた車』になってしまいます」(隠岐教授)

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