悲しみを抱えた男性に響く
高校時代の同級生だった相方の村田秀亮とNSCに入所する際にも、誰もが受かる面接で久保田だけが不合格となり、1年間浪人をしたという笑い話も。スタート地点ですでに“悲しみ”を抱えていた芸人だったのだ。
「落第生から始まり、まったくの無名ながら“スカシ漫才”を進化させて、若くして関西の賞レースを総なめにし、苦労を続けて結成15年のラストイヤーでM-1を制したのは、やはり努力家でもあるからです。そんな輝かしい実績もあまり評価されないまま、悪態だけがクローズアップされ、その現状に嘆きつつも、また悪態を繰り返していく。世に出られる芸人はほんの一握りというお笑い界で悪態をつき続ける久保田さんは、売れずにくすぶっている芸人たちの代弁者なんです。その悲哀が、人生に悲しみを抱えた男性にも響いているのではないでしょうか」(同)
だが、そんな彼が悪態をつけなかった場面もある。Spotifyのポッドキャスト「真夜中のテレフォン」で結婚を考えた元カノに電話するという企画では、ガチで“素”の久保田が垣間見られたという。前出の放送作家は言う。
「昨年末にリリースされたコンテンツですが、ネットでじわじわと評判となり、今年の『第4回JAPAN PODCAST AWARDS』でベストコメディ賞を受賞しました。久保田さんが大阪時代に長年交際し、結婚まで考えていた元カノに電話をするのですが、ナチュラルに物言いが優しくて、聞いていてとても好感が持てました。会話が進むにつれて元カノにはすでに子どもがいることが判明すると、さすがに久保田さんはうろたえてしまい、『俺の遺伝子、入ってんのかな?』とむちゃくちゃなことを言いながら、ガチで戸惑いを隠せない状態に。そんな悲しい展開もどこか面白く感じてしまうのは、哀愁漂う久保田さんだからこそ。久保田さんが哀愁漂わせる番組を持てば、熱狂的なファン層の獲得につながるのではと思いました。番組の最後には、傷つき疲れ果てた久保田さんが『これを企画したスタッフを殴りたい』と悪態をつくことも忘れませんでした(笑)」