「ブリキのおもちゃ博物館」で初期パッケージとともに展示中のトミカコレクションの一部(写真/北原照久)
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隔週刊「トミカ歴代名車COLLECTION」は、タカラトミーが厳選した歴代名車を、その詳細を解説したマガジンとともにお届けするシリーズ。スポーツカーからはたらく車まで、毎号付いてくるトミカはオリジナルデザインで、これを集めると、唯一無二のトミカ・コレクションが完成する。

【動画】14号に収録の「トヨタ スプリンタートレノ(AE86)」はこちら

2週間に一度の発売日には、マガジン巻末に収録されるリレーコラム「My car, My mini car」をAERAdot.にも配信。「トヨタ スプリンタートレノ(AE86)」を取り上げた11月28日発売の14号のコラムは、ブリキのおもちゃ博物館の北原照久館長による「ミニカーとの出逢い」だ。

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 ブリキのおもちゃコレクターとして知られている僕ですが、コレクションの第1号は、20歳の時に町の粗大ゴミ置き場で拾った柱時計。その時から僕のコレクター人生が始まり、時計、ラジオ、ブリキのおもちゃ、セルロイド、広告ものから現代作家まで、琴線に触れたものをこの55年間ずっと集め続けています。

 ブリキのおもちゃとの出逢いは25歳の時です。その中でミニカーに興味を持ち始めたのは、ブリキのおもちゃを集めたのと同じ頃。ダイキャストで、実車の43分の1で作られた外国製のミニカーの精巧な作りに感動、そして可愛いパッケージにも心トキメキ、収集を始めました。

 当時の日本製は、アンチモニー(鉛、アンチモン、スズの合金)で作られた大盛屋モデルで、彫りや塗りなどすべて1台ずつ手作業で作られていて、どこか優しさと温かみがあるものでした。

 ミニカーは次第に多様化し、数多くの車種がラインアップされ、スポーツカーやクラシックカー、トラックやバスなど、さまざまな種類のモデルが製造されるようになりました。自動車メーカーのライセンスも取得するなど、そのリアルなデザインや精密な造りで、実在の車種を楽しむことができるミニカーは、子どものおもちゃに留まらず、手頃なサイズと価格、本格的な作り込みは大人も魅了し、今では世界中に多くのコレクターが存在します。僕もそのうちの一人です。

 1970(昭和45)年発売のトミカは、発売と同時に収集。緻密なディテール、優れた品質、正確な縮尺、そして、箱に描かれたイラストがカッコ良く、購買欲をそそられるポイントです。特に気に入ったものは、6台入りの箱の付いたモノを“大人買い”したことがあります。

大人買いした「ロールスロイス ファンタムⅥ」(写真/北原照久)

 もともと、ミニカーは子ども向けに作られたものなので、現存する箱が少なく、特に初期の頃の箱は貴重です。今では、ミニカー愛好家や自動車ファンにとって、この箱でさえ、長い歴史と多様な車種を持つ魅力的なコレクションアイテムとなっています。

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スプリンタートレノの出来栄えは?