レッスンに励むアミナさん(写真左)<撮影/大谷百合絵>

ドラマを機に「偏見」を払拭したい

 しかし、露出度の高い衣装は、性的なイメージと結びつく側面もある。アミナさんはベリーダンスを習っていると実家の父親に伝えたところ、「そんなおなかを出すような踊りなんて……」と嫌悪感を示され、「この話は二度としない」と決めたそうだ。

 Izumi氏も、過去に「ストリップと似たようなやつでしょ?」と言われたり、レストランのディナーショーで踊っていた際に「いつ脱ぐの?」と声をかけられたりした経験を持つ。だからこそ、今回の「セクシー田中さん」の放送は、そうした偏見に一石を投じる可能性を感じているという。

「エロの路線ではなく、ベリーダンスを通じて、女性たちが明るく元気に前向きになる姿が描かれています。うちの生徒は主婦の方も多いですが、どんなに家事や育児が大変でも、すてきな衣装を着て踊ると、すっきり楽しい気持ちになって家に帰れる。これが、女性たちに幅広く支持される理由の一つだと思います」

 生徒の一人、50代のネスリンさん(※ダンサーネーム)も、「踊っていると雑念がなくなる」と、大きくうなずく。

「ベリーダンスなんて、私には無縁の世界だと思っていました。でも飛び込んでみたら、周りのキラキラした雰囲気にひたっている喜びが、いつの間にか踊る喜びに変わっていったんです。今では、バスや電車を待っている間、気づいたら自然と腰を振っていて、変な人みたいになっています(笑)」

レッスンに励むネスリンさん(写真左)<撮影/大谷百合絵>

 会社員や主婦といった普段の顔の裏に、ベリーダンサーの顔を持つ、“リアル田中さん”たちの姿は、どこまでもパワフルで、まぶしかった。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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