ドラマを機に「偏見」を払拭したい
しかし、露出度の高い衣装は、性的なイメージと結びつく側面もある。アミナさんはベリーダンスを習っていると実家の父親に伝えたところ、「そんなおなかを出すような踊りなんて……」と嫌悪感を示され、「この話は二度としない」と決めたそうだ。
Izumi氏も、過去に「ストリップと似たようなやつでしょ?」と言われたり、レストランのディナーショーで踊っていた際に「いつ脱ぐの?」と声をかけられたりした経験を持つ。だからこそ、今回の「セクシー田中さん」の放送は、そうした偏見に一石を投じる可能性を感じているという。
「エロの路線ではなく、ベリーダンスを通じて、女性たちが明るく元気に前向きになる姿が描かれています。うちの生徒は主婦の方も多いですが、どんなに家事や育児が大変でも、すてきな衣装を着て踊ると、すっきり楽しい気持ちになって家に帰れる。これが、女性たちに幅広く支持される理由の一つだと思います」
生徒の一人、50代のネスリンさん(※ダンサーネーム)も、「踊っていると雑念がなくなる」と、大きくうなずく。
「ベリーダンスなんて、私には無縁の世界だと思っていました。でも飛び込んでみたら、周りのキラキラした雰囲気にひたっている喜びが、いつの間にか踊る喜びに変わっていったんです。今では、バスや電車を待っている間、気づいたら自然と腰を振っていて、変な人みたいになっています(笑)」
会社員や主婦といった普段の顔の裏に、ベリーダンサーの顔を持つ、“リアル田中さん”たちの姿は、どこまでもパワフルで、まぶしかった。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)