10日のSPでは圧巻の演技を披露し、SP今季世界最高の105.25点をたたき出した(写真:ロイター/アフロ)

「特になんか『よっしゃ!』っていうのもないし、『もっとここが』ってのもないし。もう(自身のSPを)振り返ってるというか……」

 そして、続けた。

「全然スピードもなかったんですけど、できてるかどうかは別として、スピン、ステップの表現を『やろうとはしたな』っていうところ。そこは自分を褒めたいと思います」

「『ジャンプが良かったら良い演技、悪かったら悪い演技』っていうのを皆さんがつけるのは全然構わないんですけど……。自分に対する採点で、それをやめたいなっていうのは結構あるので、それに関してはまずまずの演技だったのかなって」

フリーでまさかの結末

 あくまでもプログラム全体の表現力を重視し、冷静に言葉を紡いだ。

 2位には14点以上の大差がついていた。11日のフリーを前に優勝は揺るがないようにも思えた。だが、世界王者にまさかの結末が待っていた。

 冒頭の4回転ループでまさかの転倒。続くフリップも4回転の予定が、2回転になった。

 そのまま大崩れせずに演技をまとめたのはさすがだったが、直前に会心の演技を披露していたアダム・シアオイムファ(フランス)に逆転を許した。

 それでも、宇野は演技後、穏やかな笑みを浮かべていた。

「結果はみなさんの思い描いていたものと違ったかもしれないけど、僕はこの演技に納得しています。ジャンプだけにならなかった」

 そして、演技後の心境について明かした。

「本当は悔しいって思ったほうが競技者らしいです。でも、試合前もですけど全然緊張しなかった。僕の気持ちがもうそこ(優勝という結果)にないっていうところは、まあ事実としてあるかなとは思いますね」

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